「復活する」と宣言した以上、このコーナーを放置しておくわけにはいきません。
個人的な意地と、自己満足の境地、「ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲紹介」のコーナー第13回、ピアノ・ソナタ第13番「幻想曲風ソナタ」です。
さて、「幻想曲」とは一体何でしょうか?色々調べてみたところ、形式に特に決まりがなく自由な楽曲のことを指すらしいです。
それに対して「ソナタ」とは何でしょうか。これは「ソナタ形式」の楽章を含む器楽曲、室内楽曲のことを指すらしいです。一般的にはピアノ・ソロや、ヴァイオリン等+ピアノ伴奏の曲を指していますが、バロック以前は4人で演奏するソナタもあったようです。
「ソナタ形式」とは「提示部」から「展開部」を経て「再現部」へと進む曲の作り方のことだそうです。最初に印象的なメロディを奏でて、色々と変形させたり繰り返したりしながら、最後にもう一度印象的なメロディが流れる、ということでしょう、きっと。
その他にも「提示部」の第2主題は第1主題の「属調」または「平行調」で書かれる、「再現部」の第2主題は第1主題と「同じ調」で書かれる、といった約束事があるようです。
音学(学の字はわざとです)に疎い僕にはよくわかりませんが、いろいろな約束事が決まっている作曲法ってことだけはわかりました(苦笑)
ってことは、「幻想曲風ソナタ」とは『約束事を守りつつ自由に作曲した』という意味でしょうか?それとも『約束事を守っているように見せかけて、実は自由に作曲した』という意味でしょうか?結局、謎は謎のままでした…
それはともかく、第13番は良いです!
ピアノ・ソナタ第13番 変ホ長調 Op.27-1 「幻想曲風ソナタ」
Total Play Time…ギレリス盤 16:16 /バックハウス新盤 14:33 /グルダ盤 14:30
第1楽章…ギレリス盤 5:50 /バックハウス新盤 4:49 /グルダ盤 6:30
落ち着いた静かな立ち上がりです。と、思って油断していると中間部で突然の盛り上がりが。そして最後はまた、落ち着いたメロディに。
第2楽章…ギレリス盤 1:40 /バックハウス新盤 2:08 /グルダ盤 1:50
徐々に迫る不安と恐怖とも言うべきメロディが冒頭で流れます。中間の迫ってくる足音のような低音部がまた怖いですね。最後にまた恐怖感が盛り上がってきます。
第3楽章…ギレリス盤 3:11 /バックハウス新盤 2:11 /グルダ盤 2:30
再び静かな音楽へ。しかし、最後には段々強くなって行き、そのまま第4楽章へ。小休止があるのかもしれませんが、アタッカ(楽章を切らずにつなげること、らしい)です。この盛り上がりが好きです。
第4楽章…ギレリス盤 5:35 /バックハウス新盤 5:15 /グルダ盤 4:56
脳天気です。第1楽章・第3楽章の静寂、第2楽章の恐怖感はどこへやら。明るい、元気なメロディで楽しませてくれます。途中で静かなやや暗めのメロディが流れますが、最後は明るく締めくくる。「
運命」的な作曲法ですね。解釈によっては第3楽章と第4楽章を合わせて一つの楽章とする見方もあるようです。僕の所有しているCDでも第4楽章としているものと第3楽章の後半としているものの両方がありました。
ついに買ってしまいました…と言っても、半年前のことですが(苦笑)
ギレリスのベートーヴェン ピアノ・ソナタ集。全集ではないのが残念ですが、演奏・録音ともに最高の出来です!選帝公ソナタやエロイカ変奏曲も入っています。
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- 2007/09/08(土) 18:42:39|
- ベートーヴェン
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手放しで絶賛の解説と、批判だらけの解説、あなたはどちらが好みですか?僕は絶賛の方が好きです。なぜならその方がその曲の新しい一面を発見しやすかったり、「このCDを買ってよかった」と思えるからです。
このブログを書くにあたって、色々な本やCDの解説を読んでいますが、批判の部分はなるべく読まないようにしています。
ピアノ・ソナタ第12番の解説を読んでいると、「第4楽章は密度が薄く、釣り合いがとれていない。この楽章がなければもっと演奏される機会が増えただろう」と評価した人がいました。そういう解説を書く人たちは解説の仕事を何だと思っているのでしょうか。
これが学術書やエッセイならば何も問題はありません。個人の研究の成果や、その人の感じ方を思う存分書いてくれれば良いと思います。しかし、CDに添付されている解説にこのようなことが書かれていて、喜ぶ人間がいるのでしょうか?僕には「あなたが買ったこのCDに収録されている曲は欠陥商品ですよ」と言われているような気がするのです。そうでなければ、「素人のあなた方にはわからないだろうけど、専門家の見方は違うんだよ」と高所から見下されている、という感じでしょうか。
僕は芸術性やピアニスティックな評価の上下はほとんどわかりません。第4楽章がいかに批判されていても、僕にとって耳に心地いい音楽である以上、僕にとっては良い音楽です。ですから、僕なりにこの音楽の聴き所を紹介したいと思います。
ピアノ・ソナタ第12番 変イ長調 Op.26 「葬送」
Total Play Time…バックハウス新盤 17:47 /グルダ盤 18:58
第1楽章…バックハウス新盤 7:03 /グルダ盤 6:51
聴けば聴くほど味が出る変奏曲です。華麗な第1変奏、飛び跳ねるような第2変奏、悲しさを秘めた第3変奏、繊細な第4変奏、優雅な第5変奏。どれも主題を見失うことなく、変奏の楽しさ満載です。
第2楽章…バックハウス新盤 2:38 /グルダ盤 2:26
軽快なテンポと圧倒的な迫力のスケルツォ楽章です。中間と最後に現れるクライマックスに向かって盛り上がっていくメロディが大好きです。
第3楽章…バックハウス新盤 5:12 /グルダ盤 7:04
通称の由来となっている葬送行進曲です。故人を偲ぶ悲しみが段々と強くなっていく前半部分、故人が天に召される様子が描かれているかのような中間部分、再び襲ってくる悲しみを乗り越えていく後半部分。ただ悲しいだけではない葬送の様子が描かれています。
第4楽章…バックハウス新盤 2:43 /グルダ盤 2:27
判官贔屓の対象となっている、第4楽章です。葬式が終わった後に振ってくる激しい雨のようなメロディ。悲しんでいる人たちへの追い討ちをかけるつもりなのか、悲しみを洗い流そうとしてくれるのか…。残された人々はそれでも生きていかなければならない、というメッセージにも聴こえます。
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- 2007/01/21(日) 21:53:44|
- ベートーヴェン
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ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲紹介もようやく3分の1を越えました。3回目くらいで投げ出したくなっていたのが遠い昔のようです。
第9回でベートーヴェンのピアノ・ソナタは「新約聖書」と呼ばれている、と書きましたが、一体どのくらいのピアニストが全曲を録音しているのでしょうか。現在、
注文可能な全集(注文後品切れの可能性もあるので…)をAmazonとHMVから「ベートーヴェン」「ピアノ・ソナタ」「全集」で抜き出してみた結果、合計25種類。検索にかからなかったものや、廃盤になったものも含めると、恐ろしい数になることでしょう。
ちなみに、その25種類を挙げると…
Amazonで注文可能(10種類、全てAmazonの商品紹介ページへのリンクです)
バックハウス旧盤、
バックハウス新盤、
ケンプ、
グード、
アシュケナージ、
ブーフビンダー、
園田高弘、
ブレンデル(1960年代録音・分売)、
仲道郁代(分売)、
迫昭嘉(分売)HMVで注文可能(17種類、バックハウスはおそらくAmazonと同録音。全てHMVの商品紹介ページへのリンクです)
バックハウス新盤、
バックハウス旧盤、
グルダ(1967年録音)、
グルダ(1950-1958年録音)、
ブレンデル(1992-1995年録音)、
マリア・グリンベルク、
ハイドシェック、
チッコリーニ、
アンネ・エランド、
シュナーベル、
ポミエ、
アニー・フィッシャー、
アルフレッド・パール、
ディノ・チアーニ、
タチアーナ・ニコラーエワ、
レヴィナス、
アンドラーシュ・シフ(分売)これだけあるのにバックハウス以外はかぶっていないのが恐ろしいですね。
バックハウス旧盤、ケンプ、アシュケナージ、ポミエあたりは廃盤になる前に手に入れたいのですが、いったいいくらかかることやら…
この一覧を作っている最中にうれしい情報を見つけました。僕の大好きな
ギレリスの第29番「ハンマークラヴィーア」、第30番が今年2月に廉価版1,000円で発売されるようです。このペースで録音がされている残りの20曲も発売してくれることを願っています。でも、全部を買うなると
ピアノ・ソナタ集が買える値段になりそうで、どちらを買うか非常に迷っているところではあるのですが…
ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第11番 変ロ長調 Op.22 「大ソナタ」
Total Play Time…バックハウス新盤 : / グルダ盤 20:43
第1楽章…バックハウス新盤 : /グルダ盤 6:50
非常に軽快に始まる第1楽章。僕が好きなのは中盤を過ぎたあたりの低音がひたすら続く部分からです。エネルギーを溜めて溜めて溜めて、その後に冒頭のメロディが再び流れてから一気に駆け抜ける感じがたまらなく好きです。
第2楽章…バックハウス新盤 : /グルダ盤 5:38
優雅な緩徐楽章です。麗らかな午後の日差しの中で思い出に浸っているような感じでしょうか。スローペースで一貫しています。
第3楽章…バックハウス新盤 : /グルダ盤 3:05
全体的には軽やかなメロディの楽章ですが、低音と高音の対話がいかにもベートーヴェンのピアノ・ソナタらしい楽章です。最後があっさり終わってしまうのが、僕にはちょっとだけ物足りないですね。
第4楽章…バックハウス新盤 : /グルダ盤 5:00
これ分散和音(だと思います…ちがっていたらごめんなさい)をうまく使ってメロディが組み立てられています。左手が疾走するように速いテンポでリズムを刻みつける中で、右手が高音で高らかに歌う…僕がベートーヴェン的だなと思うメロディの典型です。
久しぶりにベートーヴェンらしいピアノ・ソナタを聴いたという印象を持った曲です。この曲の通称が「大ソナタ」ではなく、「悲愴」「月光」「熱情」のような熟語でつけられていたら、もっと有名な曲になったのではないでしょうか。
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- 2007/01/14(日) 10:23:55|
- ベートーヴェン
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年をまたぎながらもなんとか続いています、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲紹介第10回、第10番の紹介です
このブログでも何度かピアノはベートーヴェンの頃に発達した楽器だと書いてきましたが、実際のところどんなものなのか気になって調べてみました。
ピアノ登場以前の鍵盤楽器というとチェンバロとクラヴィコードですが、チェンバロは音の強弱をつけることができず、クラヴィコードは十分な音量を出すことができなかったそうです。
そこで両者の長所を併せ持つ楽器、つまりピアノの前身となる楽器が1700年頃登場します。ご存知の方も多いと思いますが、ピアノの正式名称はピアノフォルテ、弱い音(ピアノ)から強い音(フォルテ)まで自在に演奏することができる楽器という意味です。もっとも、これは前身ができただけで、現在我々が思い描くピアノとはまったく別物のようです。改良に改良を重ねて、ピアノが楽器として十分に使えるようになったのが18世紀後半、モーツァルトの時代です。それでも鍵盤数は60鍵程度でした。
それが1800年頃には68鍵になり、1820年頃には78鍵になり…おわかりになりましたか?
1800年というとピアノ・ソナタ第8番「悲愴」(1799年出版)が完成して間もない頃。交響曲第1番が初演される完成した年です。
1820年というと最後のピアノ・ソナタ第30番〜第32番(1822年出版)を作曲している頃です。最後の交響曲第九(1824年初演)まで残り4年というところですね。
ベートーヴェンの作曲家としての成長とピアノが著しく進化した時期はぴったり一致しているのです。やはりピアノというのはベートーヴェンのためにあった楽器…というのは言いすぎでしょうか…?
しかし、そんなベートーヴェンのピアノ・ソナタにもイマイチ魅力がわかりづらい曲があるわけで…第10番のご紹介です…
ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第10番 ト長調 Op.14-2
Total Play Time…バックハウス新盤 13:50 /グルダ盤 14:41
第1楽章…バックハウス新盤 4:53 /グルダ盤 7:00
この曲を曲名を伏せて聴いたら、一体何人の人がベートーヴェンの曲だと当てられるでしょうか…繊細にして、華麗。優しくも派手な指使いが特徴的です。難しいことを考えずに音楽を聴くのが好きなだけで、音楽理論も何も知らない僕は多分、ショパンと答えていたでしょう。ベートーヴェン好きにもショパン好きにも怒られそうですが、それくらい技巧的な楽章です。
第2楽章…バックハウス新盤 5:28 /グルダ盤 4:52
この曲のイントロを曲名を伏せて聴いたら、一体何人の人がベートーヴェンの曲だと当てられるでしょうか…第1楽章とは逆に非常にシンプルな、素人でも弾けそうなメロディから始まります。一体どうしちゃったんだろう、と第1楽章との落差に驚きながら聴いていると、実はこれ、変奏曲だったんですね。単調なリズムがいつのまにか華麗なリズムに変化していきます。ただ…正直僕には聴き所がよくわかりません…
第3楽章…バックハウス新盤 3:14 /グルダ盤 2:50
最後は再び技巧的な楽章へ。両手を激しく使い、いくつかのメロディを慌しく奏でて終了です。冒頭のメロディは何度か繰り返されますが、全体としてはまとまりなく終わっているような気がするのは僕の聴きこみが足りないせいでしょうか。
正直に言うと、これまで紹介してきた10曲の中で一番聴き応えのない曲に思えます…。どなたか、この曲の魅力を教えてもらえませんか…?
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- 2007/01/06(土) 21:54:18|
- ベートーヴェン
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年末・年始は仕事が立て込んでいまして、年内にせめてあと1回更新しようと思っている間に2006年も残りわずかとなってしまいました。2006年最後の更新はベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲紹介、第9回です。
クラシック界、とくにピアノ曲でベートーヴェンのピアノ・ソナタ全32曲は「新約聖書」と呼ばれます。「新約聖書」があれば、「旧約聖書」も当然あります。「旧約聖書」と言えばJ.S.バッハの平均律クラヴィーア曲集を指すそうです。
バッハは平均律クラヴィーア曲集で、ハ長調からロ短調まで、早い話がドからシまでの1オクターブに含まれる全ての音を使って長調、短調の練習曲を作りました。これを一通り練習すれば一通りの鍵盤曲をマスターできる、しかも音楽理論の基礎まで、というありがたい作品です。(ピアノ曲と書かなかったのはバッハの時代にはまだピアノが存在していなかったからです)
「悲愴」「月光」「熱情」の三大ソナタや「ハンマークラヴィーア」のような難易度の高い曲がそろっているにもかかわらず、なぜベートーヴェンのピアノ・ソナタが「新約聖書」と呼ばれるのでしょうか。
素人の浅はかな考えですが、それは初級者(初心者という意味ではないです、念のため)から中級者、上級者まで幅広い層が練習できる曲がそろっていて、段階的なステップアップが実感できるからではないでしょうか。第19番、第20番は「やさしいソナタ」という名前でも呼ばれることがありますし、今日紹介する第9番は中級者用の教材として使われているようです。
もっとも「猫踏んじゃった」すら弾けない僕には1曲でも弾ける人が羨ましい限りですが…
さて、ピアノ・ソナタ第9番の紹介です。最近、勝手にストーリー仕立てにするのが習慣になってしまいました。
ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第9番 変ホ長調 Op.14-1
Total Play Time…バックハウス新盤 11:14 /グルダ盤 12:34
第1楽章…バックハウス新盤 4:28 /グルダ盤 6:18
イメージとしては、一人のダンサーの成長物語でしょうか。
草原で子供が飛び跳ねているような、軽やかな、しかしどこか未熟さを残したようなメロディから始まります。時々暗いメロディに転ずるのは自己流の限界をどこかに感じたからでしょうか。それでもその度に壁を乗り越えて、明るいステップを刻みます。しかし、最後は限界が見えてしまったのか、弱々しい音になってしまいます。
第2楽章…バックハウス新盤 3:10 /グルダ盤 3:05
スランプの中、壁を乗り越えようとしているような、苦しげで重いメロディに変わります。中間部で明るく転じるのは、壁にぶつかった若者が何か救いを見つけたからでしょうか。
第3楽章…バックハウス新盤 3:22 /グルダ盤 3:03
再び、跳ね回るようなメロディの登場です。何かを掴んだかのように華麗なステップを繰り出します。苦悩の末に、失った自信を再び取り戻し、以前よりも高度な技を披露する若者の姿が目に浮かびます。
「この曲はそんな曲じゃない」というお怒りもあるかと思いますが、所詮は素人のたわごとと見逃してください。また、このCDは聴いておくべき、という推薦版がある方はご教授願えれば幸いです。
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- 2006/12/31(日) 18:24:12|
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