最近、順調に更新が進んでいて、自分でもビックリです。個人的な知り合いのある人にに毎日更新する、と宣言したからでもあるのですが。
ベートーヴェンの曲風の柱は2つだと僕は思っています。
柱の一つはそれまでだれもやらなかったことに果敢に挑戦してきたこと。
たとえば、交響曲第3番「英雄」。45分にも及ぶ長大な交響曲(演奏者によっては60分近く)はそれまでの誰も書いていないものでした。第9番「合唱」に至っては約70分の超大作です。後にブルックナーやマーラーが80分を超える交響曲を書きますが、ベートーヴェンという先駆者がいたからこそブルックナーやマーラーの曲が完成できた、というのは僕がベートーヴェンを崇拝しすぎているせいでしょうか。
そしてもう一つの柱は極限まで無駄を省いた曲を作ったこと。少ない音階しか使っていないのに…使っていないからこそかもしれませんが…耳に残るメロディを次から次へと作っていったことです。楽譜上やメロディ進行に関することは素人の僕にはよくわかりませんが、大半の曲は2〜3回聴いてしまえば僕でもメロディが頭に焼き付いて覚えられます。しかも、それが何度聴いても飽きません。
わかりやすい例…僕でも説明できるくらいの…を挙げれば、交響曲第5番「運命」の冒頭部分。「ソ・ソ・ソ・ミ♭ー・ファ・ファ・ファ・レー」のたった4音だけです。
今回紹介するピアノ・ソナタ第5番は後者の実験作のようなものだと僕は思っています。第4番が25分前後の長い作品だったのに比べて、第5番は15分前後とかなり絞り込まれた作品です。また、初めての3楽章形式のピアノ・ソナタになっています。
ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第5番 ハ短調 Op.10-1
Total Play Time…バックハウス新盤 13:16 /グルダ盤 16:13
第1楽章…バックハウス新盤 4:02 /グルダ盤 4:58
激しいイントロから始まります。「悲劇のメロディ」とでも言いたくなるような、何かが壊れるような、これから良くないことが起こるようなメロディから。その後に続くメロディは一転して優しくおとなしいものですが、思い出したように「悲劇のメロディ」が襲いかかります。
第2楽章…バックハウス新盤 5:50 /グルダ盤 7:19
苦しみから逃れて、一時のやすらぎへ。緩徐楽章らしく、優しい曲調から始まります。しかし、ここでも突然襲い来る不安。強く、悲しいメロディが所々で挿入されています。
第3楽章…バックハウス新盤 3:07 /グルダ盤 3:45
第5番にしてここまで完成していたのか、と思わせる完成度の高い終楽章です。中期のソナタにもひけを取らないメロディ展開が聞き所です。「タタタ・タタタン」の冒頭のメロディを中心にベートーヴェンらしい音楽が展開されています。難を言えば、ベートーヴェンにしては終わり方があっさりしすぎているところでしょうか。よくベートーヴェンのコーダ(楽章の最後の部分)はくどい、といわれていますが、僕はあのくどさが大好きです。
今回はお薦めCDではありません。なぜなら僕自身が欲しいけどまだ入手できていないCDだからです。バックハウスの全集については新盤のステレオ録音より、旧盤のモノラル録音の方が完成度が高い、という意見をよく見ます。バックハウスの新盤を聴いて悦に入っている僕としては、これ以上の完成度の曲があるのか…と嬉しくも悲しいため息をついています。
テーマ:クラシック - ジャンル:音楽
- 2006/12/13(水) 20:33:51|
- ベートーヴェン
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